全国各地で公立幼稚園が姿を消しつつある。自治体の財政難や少子化のあおりで民営化や廃園が相次ぎ、10年間で全体の15%にあたる896の公立幼稚園がなくなった。今後も数年以内に大阪市と福岡市がすべての市立幼稚園を廃止する方針だ。しかし、「公立全廃」を危ぶむ声は多い。
大阪市は今年2月、市立59園を2015年春から順次、民営化するか、廃園にする方針を公表した。計画どおり進めば20年春には市立園がゼロになる。
4月19日、市立と私立の幼稚園の園長や保護者らとの意見交換会が開かれた。市立幼稚園側は「経験豊富な教員が多い」と公立の重要性を強調したが、大森不二雄教育委員は「民営化で財政負担を軽減させ、幼児教育の充実に使うべきだ」と主張し、譲らなかった。
出席した橋下徹市長は報道陣に「幼児教育の質を向上させるのが重要で、経営形態はあんまり関係ないんじゃないか」と語った。
(2013.5.20 朝日新聞から転載)