今冬はノロウイルスによる感染性胃腸炎が大流行する恐れがあると、国立感染症研究所が注意を呼びかけている。
ウイルスの遺伝子変異が原因で、全国3000か所の医療機関の報告では、11月26日~12月2日の患者数は1か所平均18人に急増した。最近10年間で、もっとも流行した2006年の22人に次ぐ勢いだ。
感染研によると、変異したウイルスは、今年1月に北海道と大阪で初めて検出された後、10月までに東京や新潟、沖縄など計9都道府県に広がったことが確認された。人体には一度感染したウイルスや細菌を記憶し、効果的に撃退する免疫があるが、変異したウイルスは、免疫による防御をかわして感染しやすい。
ノロウイルスはもともと感染力が強く、せっけんやアルコールによる消毒は効かない。体力のない幼児や高齢者がかかると、激しい下痢や嘔吐(おうと)で脱水症状を起こすことがある。感染研の片山和彦室長は「丁寧な手洗いでウイルスを流し取ることが大切。嘔吐物を処理する時は、塩素系漂白剤で消毒してほしい」と話している。
(2012年12月15日 読売新聞)