自民党の教育再生実行本部(下村博文本部長)は二十日、政権復帰を見据えた教育改革の中間取りまとめを公表した。学力低下を踏まえた義務教育開始年齢の引き下げや「いじめ防止対策基本法」の制定、形骸化が指摘される教育委員会制度の見直しが柱。安倍晋三総裁が首相在任中に取り組んだ保守色の強い教育改革の路線を引き継ぐ内容で、報告の一部は衆院選公約に掲げる。
報告では、中期的な課題として義務教育の五歳開始、小中高校に通う期間(六・三・三制)の弾力化などの学制改革を提言した。
教科書検定では「自虐史観に立つなど問題となる記述が存在する」と指摘。検定基準を改め、歴史認識が異なるアジアの国に配慮した記述を求める「近隣諸国条項」の見直しも盛り込まれている。
現行の教育委員会制度については、責任体制があいまいで、いじめなどの問題に適切な対応が難しいと判断。
非常勤の教育委員長が自治体の教育行政トップを務める現行制度を改め、首長が議会の同意を得て指名する常勤の教育長を責任者にする。いじめ問題で、教委の対応の遅れが懸念される場合などは、文部科学相が迅速に是正指示を出せるよう、地方教育行政法など関係法令を改正する方針も打ち出した。下村氏は「政権を奪還したとき教育で日本を立て直したい」と強調した。
(2012.11.23 東京新聞から転載)