第一生命保険株式会社のシンクタンク、株式会社第一生命経済研究所は、幼保一体化の市場調査と保護者に対する調査を行い、結果を発表した。
幼稚園・保育所及びその保護者に対する意識調査によると、幼児教育と保育の両方を提供する幼保一体施設に対するニーズはあり、それにこたえるためにもそうした施設をつくる必要はある。特に子ども数が減っている地方において、施設を有効活用するためにも、幼保一体施設をつくる意義がある。
既存の幼稚園、保育所、幼保一体施設が並存する状態が現実的である。施設側も保護者側も幼保一体施設をつくるからといって、全てが幼保一体施設になる ことを望んではない。この背景には、保護者のニーズの違いが今後も残るとみられるほか、既存の幼稚園と保育所の教育・保育内容及び施設の差も大きいことなどがある。
幼保一体施設を増やすだけでは、0〜2歳児に多い待機児童の解消には不十分である。待機児童対策のためには、大都市部の0〜2歳の保育を行う施設を別途増やすことが必要である。また、既存の幼稚園における預かり保育の拡充と保育所における幼児教育の充実を行うなど、それぞれの機能拡充が求められる。
子育てをする家庭が優先的に求めている支援は保育政策だけではない。子育て支援を前進させるには、追加財源をすべて幼保一体化や保育の拡充に費やすのではなく、子どもに対する手当の充実や幼児教育の費用の軽減などニーズの高い政策にも配分することが求められる。
施設調査は、2011年10~11月に全国2,000施設の私立幼稚園と私立保育所、保護者調査は、2011 年10月に、幼稚園・保育所に通う3歳以上の子どもをもつ母親400人に対してインターネットを用いて行った。